なぜ“あの商店街”は消えたのか?
人口構造の変化と健康食品市場の未来
かつて、私が10代だった頃。
田舎の駅前商店街でも、歩けば誰かに会えるようなにぎわいがありました。
八百屋さんの威勢のいい声、洋品店の母娘の笑い声、肉屋の揚げたてコロッケを買い食いする学生たち……。
しかし今、その風景はまるで幻のようです。
今やほとんどの店舗はシャッターを閉じたまま。商店街のにぎわいは過去のものとなってしまいました。
その背景には「人口構造の変化」が確実に存在します。
これは、健康食品業界にもじわじわと影響を与えはじめています。
団塊世代が支えた消費の黄金期
1947〜1949年生まれの「団塊の世代」は、戦後のベビーブームで生まれた人口の山です。
この世代は、常にマーケットの主役として君臨してきました。
- 家を買えば住宅業界が潤い、
- 子を持てばベビーブームが再来し、
- 中高年になれば健康食品や医療産業が伸びる。
まさに“購買力のドライバー”でした。
しかし、2030年には彼らも80代に突入します。
その時、日本社会の医療・介護負担はピークを迎えると予測されています。
団塊ジュニアは「消費」より「防衛」
続く団塊ジュニア世代(1971〜74年生まれ)はどうでしょうか?
人口は多いものの、経済的には親世代よりも厳しい現実に直面しています。
- 収入は伸び悩み、
- 社会保障の負担は増え、
- 子どもは1人か0人が当たり前。
その結果、彼らは「消費」より「貯蓄・投資」志向が強くなり、
健康食品も“勢いで買う”というより、“必要性を見極めて買う”傾向が強いのです。
日本市場は“静かに縮んでいる”
実際に、下記のようなデータがその事実を裏づけています。
日本の年齢別人口構成(2020〜2040年予測】
内閣府「令和5年版高齢社会白書」
国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(2023年推計)」

少年人口(15歳未満)は今後も減少。
生産年齢人口(15〜64歳)も減少。
高齢人口(65歳以上)のみが増加。
こうした人口の「静かな衰退」は、すぐには目に見えないかもしれません。
でも、マーケットの絶対数は確実に減っていきます。
そして、健康食品業界にとってのメインターゲットが、どんどん細っていくという現実は、私たちの目の前にあります。
健康食品業界の3つの処方箋
この現実に、私たちはどう立ち向かえばいいのでしょうか?
ここでは、3つの方向性をご提案します。
① 東南アジアを含む海外市場の開拓
→ 今なお人口ボーナスが続くASEAN各国。
→ 「日本品質」への信頼が高く、健康食品への関心も拡大中。
これは現在私自身が勉強を進めているテーマでもあります。
いきなり輸出代行を始めるのではなく、“アジアでも売れる処方設計”を今のうちから意識するだけでも大きな違いになります。
② 健康寿命を延ばす「予防型」の商品
→ 医療ではなく、日常的なケアとしての健康食品。
→ 関節、視力、筋力、血管、腸内環境といったテーマが中心。
ポイントは、「介護されないカラダづくり」を意識した商品設計。
70代以上でも“元気でいたい”というニーズは確実に存在します。
③ 団塊ジュニアに刺さる「心の文脈」
→ 昭和ノスタルジー × 健康食品、という切り口。
たとえば、
・親が飲んでいたあの健康ドリンクをリメイクする
・「子どもを育てながら健康も気にしたい」という30〜40代ママへの応援商品
・「親の介護が始まった自分」に向けた心のケアを含む機能性訴求
こうした視点を持つことで、他社との差別化が可能になります。
「静かに沈む日本」で、どう生き残るか
多くの企業は、「売れなくなってから理由を探す」のが現実です。
しかし、“未来を見て今から動く”企業こそが、
10年後にも生き残っているのだと私は信じています。
これはきれいごとではありません。
変化を直視して、現実的な打ち手をひとつずつ講じること。
それが、縮小する日本市場でも選ばれる企業をつくる鍵です。
そういう視点を持つ経営者がいる企業こそ、
日本の未来にとっての希望だと思うのです。

